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ファインズ トップワインミニ知識プロに聞くワインのコツ > 第三回 有名ソムリエとシャトー ラグランジュを味わう(1)
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プロに聞くワインのコツ

対談風景

『ワイン王国』67号の企画で、シャトー ラグランジュ副会長椎名氏、シェ イノのシェフソムリエ伊東氏、ジョエル ロブションのシェフソムリエ信国氏、タテル ヨシノのディレクターソムリエ若林氏(店名50音順、以下敬称略)と実力派ソムリエの皆さんとシャトー ラグランジュをテイスティングしながら対談させて頂きました。

テイスティングしたのは4ヴィンテージ。ヴィンテージの概要と共に対談内容をご紹介します!

 
ラグランジュのイメージを一新 2009年

【2009年ヴィンテージ概要】

年始は寒く、春は雨が多く、開花も平年より数日遅れでしたが、初夏から収穫期まで好天が続き、理想的な気候となりました。ラグランジュはカベルネ ソーヴィニヨン73%、メルロ27%というブレンド比率で、天候の良さとラグランジュの改革の成果両方が合わさった「新生ラグランジュ」となりました。

シェ イノのシェフソムリエ伊東氏
シェ イノの
シェフソムリエ伊東氏
伊東氏:
とにかく良いものを合わせたという出来上がり。カベルネ ソーヴィニヨン(以下カベルネ)の特徴が前面に出ていて、カベルネの持つ豊かさと酸味がきちっと合わさっています。かつ舌触りがとても滑らかです。
若林氏:
生意気で申し訳ないのですが、こんなに美味しいラグランジュを知りません(会場笑)。ちょっとびっくりしました。この品格と力強さ、シルキーさ、ミネラルとタンニンの緻密さ、そして後からぐーっとくる旨み。素晴らしいです。
信国氏:
ラグランジュというとメルロ比率が高く、丸いワインというイメージでした。カベルネ比率が高いことでかつてのメドックらしさ、サンジュリアンらしさが表現されていると思います。繊細できめが細かく、カベルネの持つ爽やかさがアタックから後味までずっと広がります。「新生ラグランジュ」なのではないかと思います。
椎名氏:
2009年はカベルネの出来が非常に良かったです。余韻が長い上に、エレガントさを持っていて、タンニンもシルキーです。アルコール度の上がったプティ ヴェルドを1%でも入れれば評論家向けの力強い骨格のあるワインになったと思うのですが、今ラグランジュが目指しているエレガントさがマスクされてしまうため、この年は使いませんでした。
 
これぞグレートヴィンテージのラグランジュ 2005年

【2005年ヴィンテージ概要】

数十年に一度と言われるグランミレジムで、春先から収穫まで好天が続き雨が少なく、理想的な天候でした。ラグランジュはカベルネ ソーヴィニヨン46%、メルロ45%、プティ ヴェルド9%というブレンド比率で、タンニンの凝縮感と滑らかさに果実味が完璧に融合したワインとなりました。

伊東氏:
これはまさにラグランジュという味わいです。ブレンド比率がメルロとカベルネが約半々で、メルロの肉付きの良さや穏やかな酸味があり、愛想が良いと言うか、抱きしめたくなるようなワインです。09年と05年、同じシャトーでこれだけ幅が持てるのはシャトーの強みだと思います。
若林氏:
メルロがよく熟してますね。ボリューム、コク、旨みがあり、とても存在感があるのでワイン単体でも楽しむことができるし、お料理と合わせても良い。コショウをきかせた鹿肉にフォアグラやベリーを添えて…、合わせたいお料理がどんどん浮かびます。
ジョエル ロブションのシェフソムリエ信国氏
ジョエル ロブションの
シェフソムリエ信国氏
信国氏:
良い意味で濃厚でモダンなスタイルのワインです。口に含むとワッと横に広がるような感じがあり、丸くて、ふくよかで、口の中でずっとボリューム感が続きます。ピジョンとフォアグラをキャベツで包んだお料理がロブションにあるのですが、それが食べたくなるイメージです。
椎名氏:
「香りの爆弾」と言っていた位、仕込から瓶詰めまでずっと香りがすごかったのが05年です。また、香りのタイプが変わってきていて、以前はフレッシュな果実の香りだったのが、様々な取り組みの成果が出てきて最近では熟度があり複雑で開いた感じのある香りになってきました。05年はプティ ヴェルドが10%位入っていて、味わいの最後にきっちりしたタンニンを残してくれます。ラグランジュの中で言うと、スタイルが90年に似ています。
 
プティ ヴェルドの存在が大きい 2002年

【2002年ヴィンテージ概要】

春は雨が少なかったものの気温が低く、6〜8月は雨や曇りが多く日照時間が少なかったのですが、9月に入り気温の高い好天が続きました。ラグランジュはカベルネ ソーヴィニヨン54%、メルロ33%、プティ ヴェルド13%というブレンドで、9月の好天と収穫期の乾燥で、アルコール度数の高い長期熟成タイプのワインとなりました。

伊東氏:
ファーストアタックはとても優しく、中間はとても上品なんですが、アフターに力強さを感じ、プティ ヴェルドの良さが表れています。キャレ ダニョのローストと合いそうです。最初は仔羊肉の上品さや繊細さを上手く引き立てて、最後にプティ ヴェルドが脂を洗い流してくれる。繊細さとしっかりの2つの面を楽しませてくれるワインです。
他のシャトーで2002年は優しすぎてちょっと味がボケたものも多いのですが、このラグランジュは最後にキュッと持ち直してくれるからすごいですね。
タテル ヨシノのディレクターソムリエ若林氏
タテル ヨシノの
ディレクターソムリエ若林氏
若林氏:
非常に良い熟成をしていると思います。香りも良く出てきていて、表情も出てきている。飲み頃に入っています。クラシカルで食事向きのワインです。仔羊も良いですし、ブルーチーズやシェーブルの少し熟成したニュアンスのものを合わせても美味しそうですね。
信国氏:
3つのセパージュがそれぞれ表現しているという印象です。カベルネの爽やかさ、メルロのどっしり感、プティ ヴェルドの骨格とそれぞれのセパージュがきちんと表現しているという印象です。
椎名氏:
夏場が涼しかったため、ラグランジュでは収穫を後ろにずらし、メルロは10月に入ってから収穫を開始しました。そのため、3品種とも糖度は非常に上がったのですが、夏場の日照が少なかったため、厚みのあるワインよりも優しさがあり最後に力強さを感じるようなワインになりました。サントリーがラグランジュを取得した際、カベルネとメルロが半々位だったのですが、それだとどうしても骨格の弱いワインになってしまうため、シャトーの中でも良い丘の上の区画にプティ ヴェルドを植えました。この上質なプティ ヴェルドが良い働きをしてくれるため、最後に力強さのあるワインになっています。