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第3回のソムリエの皆さんと椎名副会長の対談で、2009年ヴィンテージをテイスティングした時に出てきたキーワードは「新生ラグランジュ」。
なぜ近年のシャトー ラグランジュはこれまでのシャトー ラグランジュとは異なるキャラクターを持つのか?シャトー ラグランジュの取り組みをご紹介します!
1983年、サントリーがシャトー ラグランジュを買収した時、畑、醸造設備、シャトーとすべてが荒廃していました。サントリーはボルドー大学でワイン醸造研究所長を務めていた醸造学者エミール・ペイノー氏に協力を要請し、彼の門下生であるマルセル・デュカス氏と鈴田健二氏を責任者として迎え、復活のための改革に着手しました。
醸造設備は最新式の温度コントロール装置をそなえたジャケット式ステンレス製発酵タンクをメドックで初めて導入。寂しい姿になっていたシャトーや庭も修繕、美しい姿を取り戻しました。
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| (左)修繕前、(右)修繕後の美しいシャトー |
当時畑の面積は113ha、しかしブドウが植えられていたのは56haのみで、しかもメルロ比率が約半分。多産系の台木が選ばれていました。元々植えられていた樹は、厳しい剪定により収量を落とし、少量生産で高品質なカベルネ ソーヴィニヨンを多く植えていきました。
しかし、樹齢が上がるのに20年以上かかります。そのため、プティ ヴェルドを丘の上の良い区画に植えて良質のプティ ヴェルドを収穫できるようにし、カベルネの樹齢の若さをカバーし、ワインに力強さを加えられるように工夫しました。
2000年代に入り、デュカス氏と鈴田氏からバトンを受け継いだのがブルーノ・エイナール社長と椎名敬一副会長です。先代が築き上げたしっかりとした基盤をさらに進化させるべく、改革を行っています。
現在の総面積は157ha、内作付面積は117haと広大な面積を所有していますが、自然な栽培方法に近づけるべく、「リュット レゾネ」と「叢生栽培」を行っています。
リュット レゾネは農薬、化学肥料の使用を病気など避けられない状況のみに抑える農法で、シャトー ラグランジュは2005年にテラ・ヴィティス(自然環境に配慮したワイン造りを行うフランスの生産者団体)の認証を取得しています。また、叢生栽培は日本の果樹園などでも行われていますが、畑に草を生やすことにより、土壌の水分や温度などを自然の力を借りて良い状態にする方法です。
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| (左)叢生栽培(右)ワインを造る工程で出たブドウかすから作った堆肥 |
植樹密度は1haあたり7,500〜8,500株と高く、枝を短く剪定して1株あたり4〜6つの芽のみを残しています。日照量を確保するために摘葉し、7月にはグリーンハーヴェストを行い房の数を制限。このようにして、凝縮感のあるブドウが育ちます。
収穫は手摘みで行われ、果実が潰れないようにカジェットと呼ばれる小容量のコンテナで運んでいます。その後、さらに選果台で果実を選別し、区画毎にタンクで醸造します。
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| (左)手摘みで収穫(右)選果台にて選別 |
醸造所には、2008年に最新式の中央温度制御室を導入しました。また、1983年に取得した際に導入したタンクは220hlという大きさのものだったため、2008年から2010年に小型タンクに入れ替え約100基のタンクを完備しました。これで1区画を1タンクで醸造することができるようになりました。
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| (左)小型タンク。区画の大きさや樹齢により使用するタンクの大きさが異なる (右)タンクの入れ替え作業。醸造所の屋根に穴を開け、クレーン車で入れ替えする |
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| (左)エイナール社長(右)椎名副会長 |
これらの改善により、区画毎にブドウの熟度を見ながらぎりぎりまで収穫を延ばすことができるようになりました。ラグランジュはサンジュリアンの中で最も河から離れた位置にあります。河に近いところに比べ開花も遅く、収穫開始も異なります。
また、同じシャトー内の畑であっても、丘の上と下、土壌の違いなどによりタイミングが異なります。もし大きいタンクを使っていると、ブドウの熟度に差があっても同じタイミングで収穫しなくてはいけなくなります。しかし、小型タンクを導入して区画毎に醸造できるようになり、それぞれ最適の状態で収穫できるようになりました。
これらの改革により、今まで以上にサンジュリアンのテロワールを表現したワイン造りができるようになりました。しかし、これで彼らの改革が終わったわけではありません。
シャトー ラグランジュでは「今」だけではなく「20年後」も見据えて、更なる改革を進めています。
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