シャトー ド ラ マルトロワはその単独所有畑、クロ デュ シャトーやモルジョなどの一級畑を見下ろす斜面に位置する洋館です。現当主のジャン・ピエール クルニュはモダンアートの愛好家で、事務所や庭にはそのコレクションが並び、シャサーニュ村の中で異彩を放っています。
こう書くとそのワインもモダンで個性的なのかと思われるかもしれません。確かにかつては実験的にアメリカンオークを使ったり、バトーナージュを多く行ったりという時期もありましたが、現在はクラシックなシャサーニュに回帰しています。
赤ワインはシャサーニュならではのタンニンのプレゼンスがありますがそのタンニンはよく熟していて旨みがあり、赤い果実の風味とのバランスがよいです。プルミエ クリュ以上はクリュごとにテロワールを反映し、例えば看板畑のクロ デュ シャトーはジャン・ピエールによれば「シャサーニュの王道ではなく、エレガントで軽やか、シャンボール的」。白ワインはやはりシャサーニュ、ミネラリーですがお隣のピュリニーとは異なり骨太でボディがあり、重心の低い余韻が長く続きます。
なおブルゴーニュでは若い白のグランヴァンをデキャンタージュするのは異論がないところですが、赤ワインについては否定する人も多くいます。しかし彼はためらわずカラフェに入れることを勧めます。この姿勢だけは彼のモダニズムを反映しているのかもしれません。
シャサーニュ村の中央、ブドウ畑を見下ろす場所にあるのがシャトー ド ラ マルトロワです。15世紀に造られたこのシャトーを1940年にダニエル ピカールが購入し、1992年から孫のジャン・ピエール クルニュが栽培・醸造責任者としてワイン造りを行っています。1970年代まではワイン造りを他の醸造元に任せていましたが、80年代から自分たちで醸造も行うようになり、特にクルニュが責任者となってからは、高い評価を受けるようになりました。
赤6.5ha、白8.5haの畑を所有。プルミエ クリュ、グラン クリュと素晴らしい畑を多く所有していて、特にシャトーの前に広がるクロ デュ シャトー ド ラ マルトロワは単独所有しているドメーヌの代表的な畑です。徹底したグリーン ハーベストと選果を行い、厳しい収量制限を行っています。
白ワインは収穫したブドウをダイレクトプレスし、発酵が始まるまでの間はステンレスタンクに保管し、その後樽に移して発酵を行います。赤ワインは100%除梗の後、ステンレスタンクと縦型木桶の両方を用いて発酵を行います。両方とも酵母は天然酵母を使用しています。
- シャトー ド ラ マルトロワ
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