Fwines YouTube

ワイン生産地から

ファインズ トップワイン生産地から > ブルゴーニュ通信
  •  
  • ワイン生産地から
  •  
  • ファインズEye
  •  
  • 世界のプレミアムワイナリー
  • ブルゴーニュ通信
  •  
  •  
シャブリのウイリアム フェーブルとコート・ドールの
ブシャール ペール エ フィスの輸出・広報担当である西山氏から、
収穫情報などブルゴーニュの「今」をお伝えする情報を
お届けします。
【第2回】 ブシャールへの訪問

写真1シャトー ド ボーヌ貴重なワインが眠るシャトー・ド・ボーヌ ブシャール・ペール・エ・フィスの社屋はボーヌの駅を出て、道を真っ直ぐ進んだところにあります。駅を利用する観光客が城壁に囲まれた旧市街で目にする最初の建物といったところでしょうか。

創業者のファミリーが購入し、社屋とカーヴとして使われ始めたのは1800年代の初め。元々はフランス王が15世紀に造った「シャトー・ド・ボーヌ」という要塞だったのです。こういった由緒ある建物で、おまけに今はワイン生産者でもありますから、見学と試飲をしたい、という依頼はひっきりなしです。こちらにも受け入れ態勢の都合がありますので、10日前を目安に事前予約をお願いしています。(*注1)

15世紀のこの要塞の中には、現在350万本のワインが眠っています。湿度75%、気温15℃。一番古いワインは1846年のムルソー・シャルム。1865年のモンラッシェは4ケースも残っています。これらは私たちの研究用で、試飲することもあります。リコルクを40年に1度、また、低温カーヴで、旅をしていないワインなので、実際より若く感じられると思います。
写真2シャトー地下のカーヴ
2003年は猛暑で、異例の150年ぶりの8月中の収穫。カーヴに残っていた1865年が同じく8月中に収穫されたヴィンテージだったので、1865年を試飲し、2003年の醸造の参考としたこともあります。

なお、取材やワインのプロのお客様の訪問の場合は、私自身がお迎えをしています。内容もさまざまで、おまけにワインを確かめる良い機会ですので、楽しみながらやっている感じです。同じワインでも、自分の体調や、開けた時期によってワインのコンディションは刻々と変化します。波線を描きながら成長するタイプのワインもありますし、いつ開けても成果を見せるランファン・ジェズのようなワインもあります。試飲の時のル・コルトンは常に頑固。食事の時にこそ進化を発揮するタイプです。このように仕事と言いつつ、グラン・クリュまで試飲できますので羨ましがれておりますが…。

 

写真3ブシャールに1日に限定銀座カンセイオープン!?
さて、タイムリーなところでは、先週に日本人のシェフと、その常連のお客様のご一行約10名をブシャール社見学のためにお迎えしました。今回は非常に興味深いイベント付。カーヴの見学と試飲以外に、「銀座カンセイ」のオーナーシェフの坂田さんがブシャールのシャトーのキッチンで地元の食材を使い、腕を振るうディナー付です。

こちらとしても初めてのことで、キッチンの設備がプロ仕様なのか、食材は何処で購入したらよいか、色々考えました。
私は料理人はありません。が、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、食いしん坊なので、肉屋はここが! 魚屋はこの日に仕入れをするから新鮮! ということを生活の一環で把握していて、そこへシェフと買出しに行きました。ちなみにボーヌ周辺で最高の肉屋はポマ−ル村の教会の脇にあります。肉屋なのに肉が一切店頭に置いてありません。こんなお店なので、「今日は何があるの?」から会話を始めるのが良いでしょう。非常にディープなスポットですが、最高のシャロレ牛(ブルゴーニュ地方の名産牛)が手に入りますよ。

この日は3.5キロのリブロ−スの塊を購入。シェフ特製の美味しいロ−スト・ビーフに変身。内陸ゆえ新鮮な魚を手に入れるのが難しいブルゴーニュでも、魚屋はこの日が仕入れの日と重なっていましたので、満足の内容。大西洋で採れたアンコウを1匹ご購入。他にも野菜、バターや塩なども購入。

写真4
写真5
主な仕込みは午後から。不慣れなキッチンで時間も少ない中でしたが、さすがはシェフ。見事に仕事をこなされておりました。私の方は食材の購入から調理、そしてそれを食す! という所まで立ち会えたのは幸せなことでした。

前菜は3Lのシャンパーニュに合わせ、南国のフルーツをソースに使用したサラダと、白アスパラと生ハムのシャンパーニュ・ソース。ボーヌ1級の白のクロ・サン・ランドリー2006と共にアンコウとソテ−。メインにはロースト・ビーフと付け合せにサトイモのピュレが登場し、ジュヴレ・シャンベルタン・カズティエ2006とボーヌ・マルコネ1985で地元名産のチーズまで。デザートはサクランボやフランボワーズなどの赤いフルーツに、スイカと洋ナシのソース。非常に素晴らしい会でした。
「次回は地元に人を招待して開催しましょう」と坂田シェフ。こんなに美味しい会なら人選に困りますよね? とはいえ次回にも期待です。 こんなに楽しい会はそうはありません。来週は取材やら、輸入元を絡めて2009年の樽試飲など、緊張の訪問が続きます。

 

(注1) ブシャールHPコンタクトページに訪問に関しての詳細がございます。電話、FAXもしくはメール(フランス語もしくは英語のみ)にてお申し込みください。
http://www.bouchard-pereetfils.com/liens-directs/contact/le-caveau/

 
 

【西山 雅己氏】
サントリー「カーヴ ド ヴァン」勤務後、2001年にフランスに渡り、プロヴァンスのワインショップで研修。
2002年CFPPA(国立農務大臣認定ワインプロフェッショナル養成機関)研修時に、ブシャールとフェーブルにて研修。
2003年日本人初の正規採用となり、ブシャール ペール エ フィスとウイリアム フェーブルの輸出・広報担当を担当している。
2010年からはシャンパーニュ アンリオの輸出・広報担当も兼任。