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2016年10月19日(水)

『イーラス』 オレゴンのテロワールを表現する

現地情報

ウィラカイア ヴィンヤードを後にして、エオラ アミティー ヒルズから北上し、また別のサブAVA、ダンディー ヒルズへ。

土のサンプル

山道をガタガタと揺られながら車で走りぬけた先、広大な畑が広がる見晴らしのよい丘の上にイーラスのテイスティングルームがあります。綺麗な花に彩られたそこは、乾燥したワシントンではない、オレゴンということを感じさせる場所でした。

通された部屋には、このあたりの土壌に含まれている土のサンプルがあり、多様性に富んでいるオレゴンの土壌の様子が視覚的にわかるようになっています。中でもイーラスがあるあたりで特徴的なのが一番左にある「ジョリー土壌」と呼ばれる火山性の赤い土壌。(上部写真)これと、「ウィラケンジー土壌」と呼ばれる海洋性堆積土壌の二つがオレゴンの中心的な土壌となっています。

ウィラメット ヴァレー、ひいてはオレゴン全体の話となっても、またその土壌の違い、標高の違いなどさまざまな要素によって、同じブドウ品種、同じクローンであっても異なる味わいのブドウが生まれます。それらを含めての「オレゴン」「ウィラメット ヴァレー」「ダンディー ヒルズ」そうした土地の個性、テロワールを反映したワインを造ることーそれがイーラスの目指すワイン造りです。


試飲したアイテム

特にそれを強く感じたのが、最初に試飲した「オレゴン ピノ ノワール」。
(写真左から2番目)

オレゴン全体から、よい畑、よいブドウを選んで造られているのがこのワインですが、先ほど書いたような、異なるブドウがもたらす味わいの層を感じさせながらも、非常にオレゴンらしいワイン。スパイスや、土っぽさを感じさせながらも、まずはフルーツの味わいが口一杯に広がります。訪問した日は、とても天気がよく、外はさんさんと日が降り注いでいましたが、そんな日に冷やして、外で飲みたくなるような、そんなワイン。決して薄っぺらい訳ではなく、でも親しみやすく、飲みやすい。
そんな魅力を持ったワインでした。

ピノ グリ2014 [3,000円]、ピノ ノワール2013 [3,360円]、プリンス ヒル ピノ ノワール2011 [6,800円]、エステート セレクション ピノ ノワール2012 [5,400円]

単一畑、「プリンス ヒル」のピノ ノワール。
(写真右から2番目)

同じタイミングで試飲した、別の単一畑「リーランド」と醸造方法はまったく同じ、なので味わいの違いは単純にそのブドウがとれた土地の違いになります。先ほどの「オレゴン ピノ ノワール」がオレゴンの個性を表現しているとしたら、このワインが表現しているのはこの畑の個性。実際、リーランドの畑に比べてプリンス ヒルは丘の上部、標高の高いところにあり、土壌もメインがジョリー土壌であるのは同じながら、プリンス ヒルのほうがより深く、このジョリー土壌が広がっています。

そんなプリンス ヒルのワインはとかく複雑な、そして余韻の長いワイン。「オレゴン ピノ ノワール」が持っていた果実味、スパイス、土っぽさ、それらの要素が全てはるかに強く、深くなりながらも、絶妙なバランスをとっています。さらに「オレゴン ピノ ノワール」にはなかった樽の要素がそれらを下支えし、かつそれらの要素をより輝かせています。

価格は違えどもその全てに共通する、イーラスの「テロワールを反映したワイン造り」を実感しました。

畑や試飲の案内をしてくれたポールさん

また、この日は、試飲しながら何度も合わせる食事や、どんなときに飲みたいか?そんな話が飛び交ったのですが、例えば「オレゴン ピノ ノワール」はシンプルなトマトソースのパスタと、同じ「プリンス ヒル」でもこのヴィンテージは酸がしっかりしているからハーブやスパイスを効かせた豚肉、こっちのヴィンテージはもっと力強いからソースを絡めたお肉…そんな話をしてくれたのは、この日、全ての説明をしてくれたポールさん。

私たちからのたくさんの質問にも、ひとつひとつ丁寧に答えてくれたポールさん。
ワインを飲むとき、いつもお食事や、そのワインを飲むシチュエーションを考えながら飲んでいて、この日も「これはちょっと冷やしてピクニックで」とか、「これはドライクランベリーを混ぜたサラダにぴったりなんだ!」とか、ご自身の体験を交えてお話ししてくれました!

試飲の後はテイスティングルームの眼下に広がる畑を眺めながらのランチ。ワインを産み出すブドウ、そのブドウが育つ土地、そしてそこに関わる人に触れ、とても満ちたりた気持ちでオレゴンを後にしました。

(2016年7月訪問記録)