トレパイユの畑
1880年ポール・アンリオ氏とマリー・マルゲ嬢の結婚によりもたらされたコート デ ブラン地区のシュイィ畑は、日当たりにとても恵まれ、口当たりの柔らかいシャルドネを生み出し、アンリオのスタイルを決める重要な要素でもあります。
シャルドネ100%で造られるアンリオ ブラン ド ブランは、シュイィ畑のようなコート デ ブラン地区のグラン クリュ畑を中心に造られますが、その中にグラン クリュではないものの、個性的な畑のシャルドネが使われています。それは、ピノ ノワールが主に栽培されているエリア、モンターニュ ド ランス地区にあるトレパイユの畑です。西山氏がトレパイユの畑へ案内してくれました。
西山氏:アンリオの自社畑、27ヘクタールのうち5ヘクタールがコート デ ブランのシュイィ畑。モンターニュ ド ランスのピノ ノワールの畑で風が強いマイイは清涼感のあるピノ ノワールが育ちますが、コート デ ブランのシャルドネにおいては、シュイィ畑がその役割を担います。東と北に向いているため北風の影響も受けます。そのため、フレッシュさと酸、ミネラルがもたらされます。
必要な日照条件でもたらされる自然なフレッシュさだけでなく、それを覆うだけの酸があるため、アンシャンテルールやミレジメに使われるブドウが収穫されます。
そしてトレパイユの畑は、コート デ ブランと同じ真東向きの斜面で、モンターニュ ド ランスで唯一シャルドネが植えられているエリアです。酸とミネラルには、コート デ ブランに及びま せんが、丸さ、豊かさをもたらす面で非常に重要な畑です。わざと草をはやして、ブドウの根を深くさせる栽培方法をとったり、また様々な植物を根付かせることで、1つの病気を蔓延しに くくしています。できるだけ自然に近い状態を守っている畑となります。昔は、技術に頼りがちでした が、現在はよりナチュラルな方向に向かっています。EU全体で農薬を減らしていこうという動きがある のも要因の一つです。その代わりに今まで以上に畑での作業が重要に必要なるわけです。
情野氏、畑にて
情野氏:実がなっているのが見えないくらいふさふさですね。土壌が白いですね。
西山氏:「トレパイユは裏切らない畑」と、いつもローラン フレネが口癖にするくらい、安定して品質の高いシャルドネを作り出している畑です。
上:フレネ氏と情野氏
下:テイスティング風景
最後にアンリオ ミレジメ2005年ヴィンテージの試飲をしました。
フレネ氏:熟した香り、トースト香、白桃の香りを感じますが、口の中に入れると黄桃に変わるような味わいです。プルミエ クリュとグラン クリュのブドウしか使っていない特別なシャンパーニュ。シャルドネ50%、ピノ ノワール50%は崩さず、アフターの焼き菓子のような香ばしい香りと共に、ミネラル感が増していきます。アンリオらしさを失わないよう注意して造っています。
情野氏:2003年ヴィンテージとは全然スタイルが違いますね。
フレネ氏:ヴィンテージとしては、2005年と2006年のキャラクターは似ているけれども、2003年とは対象的です。
情野氏:複雑なトースト香を感じます。
フレネ氏:熟成に由来するトースト香などの香りはアンリオが目指すところです。ミレジメのような完成度が高く複雑味があるものは、料理にも複雑味を求めたいですね。
情野氏:スパイスなどを使ったオリエンタルフレーバーにもいけるんでしょうね。
フレネ氏:わさびとか?
情野氏:クミンなどのスパイス、思いきってカレーなども相性がよさそうです。2004年ヴィンテージは生産しているのですか?
フレネ氏:いいえ、造っていません。2003年の次は2005年です。
情野氏:2003年ヴィンテージを造っているメゾンは少ないのではないですか?
フレネ氏:2003年は歴史に残るような暑い夏でしたので、早めに収穫に踏み切りました。私たちが2003年の収穫を終えた時、他のメゾンの中にはバカンスから帰ってきた人たちもいたくらいでした。ブシャールやフェーブルも早い収穫に踏み切っていましたので、アンリオも同様に対応することができました。人の手配や運搬機材の確保ができたことは本当に幸運でした。収穫に関しては、日中だけでなく、朝方に収穫するなど時間帯も重要です。2004年にミレジメを造らなかったのは、収量は多かったのですが、質としては十分でないものもあり、内容がやや欠けたため、ミレジメは造らないと判断しました。熟成期間が長いので、充実した内容があるワインが出来ない限り、ミレジメは造らないという方針です。
テイスティング風景
情野氏:2006年から醸造責任者としてシャンパーニュを造っていて、お気に入りのヴィンテージなどはありますか?
フレネ氏:比較的簡単な年、難しい年など様々ありますが、毎年楽しんで仕事を行っています。毎年違うということが、長い間その仕事を楽しめる秘訣なのかもしれません。
情野氏:フレネさんにとって思い入れのあるヴィンテージはありますか?
フレネ氏:2008年です。最近のヴィンテージは暑い年に特有の香りが強く出てしまうことがあります。2008年は暑い年が続いていた中で、昔ながらのフレッシュな果実の香りのあるシャンパーニュが造れました。味わいもクラシックに仕上がったということで印象に残っています。実際に1988年ヴィンテージのワインと2008年ヴィンテージは分析データから見ても非常に良く似た数値が出ています。
情野氏:シャンパーニュでは、1999年や2002年が一般的に良い年といわれていますね。
フレネ氏:99年は内容としては十分ではなかったと思います。02年はクラシックな年でしたが、収量が少ない年でした。そのため、ミレジメは6ヶ月で在庫がなくなってしまいました。
情野氏:アンリオとしては、一般的に言われている年が良いわけではないんですね。
フレネ氏:それから2006年にアンリオへ来てから自分が手がけた商品が来年、リリースできるかもしれません。日本では販売していませんが、私が来てから造り始めたキュヴェ、「ドゥミセック」と、もう一つのキュヴェ、マグナムサイズの「グランブラン」(仮名)です。アンリオ家のスタイルを大切にしながら、様々な挑戦を続け、これからも造り続けていきたいです。
メゾン アンリオが代々受け継ぐ想いや技術、そしてフレネ氏の強い意志と共に、これからもシャンパーニュ アンリオは進化し続けます。
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